彼は黄昏ていた。
いや、明け方なのだから黄昏は正しい表現ではないだろう。だが、その立ち姿はまさに黄昏そのもののように、赤く美しかった。
背後にベッドから起きた私に気づいたのか、彼は穏やかに笑かけた。
「おはようございます、我が主。」
美しい黒髪が緋に染まり輝いている。
「ふん、」とため息を一つ吐き「お前のせいでこんな時間に起きてしまったではないか。」と壁時計を流し目で射しながら毒付く。
我ながら性格は最悪なものだ。
「申し訳ございません。」
窓側の体を跳ねさせ、窓を閉め、カーテンを閉じた。赤みを帯びた暗闇に二人が存在する。
イキナリ、緊張感が襲ってきた。
昨夜のようにまたこのサーヴァントに食されるのでは無いだろうか・・・と不安に体を伸縮させた。気づいたら、夏に差し掛かり暑く撫でたために変えた、簡単なシルクのブランケットを強く抱き寄せた。
「・・・ あ、主・・・!」
それを暗闇の中で感知したランサーは主、事、ケイネスの肩を抱き寄せ後ろから包み込んだ。生暖かい温もりが夏にも関わらず心地よい。
「・・・ランサー・・・」
自然と、指が絡み合い、首が勝手に振り替えってしまっていた。本能のままに、二人は唇を重ねて瞳の耀きにお互いを煌めかせあった。
数秒後に離れた二人は顔を見合わせられないままお互いの唇に残る感触を幾度か思い出した。
赤く燃え上がった耳までブランケットで隠し、ベッドから降りた。
「ソラウが多分朝食の席で待っているから・・・」
「あ、はい・・・」
そんなはずもない言い訳にスンナリと了承してランサーは部屋を出た。
二人はお互い立ちながら、先ほどまでの甘ったるい行為に赤面した。
終わり!
とりあえず デイルケイに愛を!