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2013/12/15

本編1

基本的に、好きなものには正直になれない。
基本的に、嫌いなものには直球的だ。

「モリミ、明日のパーティーについてだが・・・っておい」
ぜはんぐが頭をぺし、とはたく。はっ、と気がつく。
手に3枚おりになった招待状を持っているぜはんぐを見て、思い出す。
『やっぱり行った方がいいのかな?』
とメモ帳に書き出すと、当たり前だ、と叱られた。
ぼくより数センチ身長の低い年上の雇われ暗殺者。

「で、今回は・・・」
ぜはんぐが地図を取り出して場所を確認した。19歳のぜはんぐの運転は荒いが、とても速い。予定よりもだいぶ早く着いてしまうことが多々ある。
まぁ、遅れるの良いも良いのだが。
「ん?何時集合だっけ?」
ぼくは人差し指を宙に差し出す。
「一時か・・・今は12時、よし。余裕だな。」
本当ならば余裕とは言えない距離なのだが・・・。
「寄り道をしていこう。」
どこへ?
「良いトコロ、だ。」
ぜはんぐはそのまま車をアーケード街の近くへと停めた。

「ほら、見てみろ。懐かしいだろう?」
懐かしいと言われれば、確かに・・・と言いたくなる。高校の帰り道によく通っていた道だ。
元来、この年齢ならば誰でも学校に通い、同世代の子供たちと戯れているはず・・・しかしぼくは少しばかり他の人とは違っていた。
親の財産を受け継ぎ、今は世界でも指折りの大企業CEOをしている。
もちろん任意だが、選択肢は一つしかなかった。
「ここで初めて会ったな。」
ぼくはここで初めてぜはんぐに出会った。
暗殺されそうだった時に、ぜはんぐをタイミング良く雇っていた宮本のおかげで、ぼくはぜはんぐと出会った。
「ここは時間が止まったように静かだなー」
もちろんだ。
何故なら、ぼくが止めた。






続く。

2013/11/25

番外編!

「なんでだよ・・・」
真っ白のマフラーを首に巻き、真っ黒のロングコートを海風に吹かせる。真っ青な顔を空に向け。この男、ぜはんぐ・ライトは、溜息を大きくもらす。
『寒』
と書いてあるスケッチブックの一枚をぜはんぐに見せる白い男は、黒い長マフラーを鼻の上まであげて、白いトレンチコートに身を縮こまらせる。
「寒いって・・・ おいおい。そりゃこっちのセリフだぜ・・・。」
『同じ気持ち』
「・・・なんだって、おれが・・・おれがこんな目に・・・」
『必然。 ごめんって。』
「本当だよ・・・。」
二人は今、崖に居る。
海が290度見渡せる崖に居る。後ろを振り返れば大勢の大男たちが手に銃を構えている。
『どうする?』
「おいおい・・・決まってるだろう。」
頭上にハテナを浮かべる相棒に引きつった笑顔を見せる。
手汗でしっとりなった手でダッフルの背中を抱きしめる。
「覚えておけ!!!この森見臣藏は容易くは死なない!!!!」
そして後ろに一歩、跳躍した。
1mぐらい後ろに飛んだところで、落ちた。
コツコツの岩に波風が強く当たるところに、落ちた。
ひゅるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる

ピーーーーガガッピッ!
「森見臣藏とその部下が自殺しました。」
『自殺ぅ?』
「えぇ、三角崖から落下していきました。」
『死体は?』
「確認できません。・・・この距離です。万が一にも助かりはしませんよ。」
『それもそうだな。よし、戻ってこい。』
「はっ」
ピッ
小型トンシーバーをポケットに仕舞い、トレンチコートの首元と胸元をキレイに直した。
後ろに控えている黒い大男たちに指で撤退を合図する。
それに従い、一人また一人と無音で立ち去ってゆく。
最後に残った自身の腕時計を見て、時間を確かめる。
「いけませんね・・・あと2時間室見様のティタイムです。急いで帰らないと。」
そんな独り言をつぶやきながら、男―喜田太郎は眼鏡を上げた。

2013/11/14

いち!

人生というものには限度がある。

ある一定の人間としての機能を持っている、っていうだけで人間として扱われるのが非常に、非常に、僕は虚しく思う。心の底から、理不尽だと思う。
僕は喋れない。
正式にいえば、先天的に病名不明の声帯変形を持っている。
声が出ないのがいやだとか、孤独を感じる、等と思ったことは人生で一度もない。

だが、今日。

この瞬間、僕は孤独はいやだ、と思った。

「仕事だ。お前を殺しに来た。」

妙に癖のある日本語で、外国人の男の人が僕に銃口を向ける。銀色の光る オートマのスライドの光が目にチカチカとあたる。

「最後の言葉、何か言わなくていいのかよ?」

言葉が口から出ない。物理的に。だが、これを精神的なものだと勘違いした男の人は呆れた表情でトリガーの指に力を入れた。

「つまんねーな」

僕は咄嗟に叫んだ。

「ーーーーーーーーーー~~~~~!!!!!!!」