2014/05/10

世界で初めての子

オリジナル小説 わけがわからないよ!です。

神ノ裏社会 設定の、昔話調?です。笑
わからん笑笑笑









この世界が創られる前、そのまた昔、最初の世界ができたときの話。
世界には神、ただ一人しか存在しなかった。
神はやがて、己で考えるととを覚え、そして多種類の生物を作り出した。
感情も覚えた。
だが覚えたその感情がすべてを狂わせた。

「神よ、あなたには家族がいないのですか」
「家族か」
あるとき一羽の慈愛に満ちた鳥が神に尋ねた。
「私は世界で最初のモノなので、お前たちと同じように同族はいない。故に家族もいない。」
「それは悲しい。あぁ、悲しい。だが神よ、あなたは一つ忘れているのではないのですか。」
「全知の私が忘れている?それは何だ。何を私は忘れているのだ。」
鳥は羽を大きく広げて、声を張った。
「それはあなたが私達を造った親であることです。」
それは神さえも忘れていた、親、という存在。
「なるほど」
鳥に見逸れた神は、己が未だ全知ではないことを知らされた。
「賢明な鳥よ。お前を私の家族、すなわち同じモノにしてやろう。」
「いいえ、そのようなことはなさらないでください。私は一介の鳥でございます。あなたの下で羽ばたければ、それだけでよいのです。」
だが神はその言葉を最後まで聞く前に鳥を己と同じ姿に変えてしまった。
くちばしを取り、
羽を取り、
長い胴体に己と酷似した四肢を付けた。
「お前を世界で最初の伴侶としよう。」
「神よ、なんということを。」
鳥は神と同じ形容になった事に大いに絶望した。
のち、二人の間に一つの命が生まれた。
それは神と同じ色同じ性の赤子であった。

世界で初めて生まれた子。

のちにダニエルという名をつけられる。







「兄さんが、神の子?」
「あぁ、その通りだぜ。お前だけが知らされていなかった事実の一つだ。」
「何故・・・オレだけが知らされていなかったんだ・・・。」
リコはコーヒーをすすりながら答える。
「お前には『家族』だと思われたかったんだとよ。」
「家族・・・?」
コーヒーコップをテーブルに置いてソファーにもたれかかる。当たり前だ、と言いたそうにこちらを見つめると、不安な気持ちになる。
「神は、 あのおっさんは家族がなんなのか理解できていない。ただ子孫繁栄すれば家族だと思ってやがる。そんなわけがないのにな・・・」
「?」
「お前は、ダニエル・ディーンの『家族ごっこのおもちゃ』だったんだ。それもアノお父様が作り上げたな。」
「家族ごっこ・・・」
「そうだ。ごっこ遊びだ。しかもこれは質が悪い。三つの世界をすべて巻き込んでいる、家族ごっこだ。」
「・・・」
「それが神とダニエルの親子喧嘩であり、」
「世界の孔・・・」
「その通りだぜ。」
頭を下に垂らしながら自分の世界に入るエリックを微塵にもかわいそうとも思わない。リコはそういう性格だ。例え自分までもが神のおもちゃだったとしても、悲しむなんてことはしない。
「で?これからどうするわけよ、お前。」
「ん?あぁ・・・ そうだな、考えていなかった・・・。うん。とりあえずこのままダニエルを・・・兄さんを探し続けるよ。」
「そっか。  まぁ、紅夜も心配してる。たまには本部に顔を出せよ?」
「あぁ、ありがとう。」
「んじゃあ またな。」
「あぁ。」


「おっ エリック早かったな。話しは終わったのか?」
『おかえり!何の話しだった?』ぜはんぐと森見がハンバーガーを頬張りながら同時に質問攻めにする。
目の前でのんきに食べている二人に気が抜け、無意識に笑いが漏れる。
「ふっ 全部終わったよ。話しも、ケジメも。」
『どういうこと?』
「つまり、」
森見のスケッチブックの文字を指でなぞりながら、エリックは微笑む。
「もう神界には戻らない、ってことだ。」




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 あらすじ

ダニエルを探しに途中で立ち寄ったチベットで出くわしたリコとの会話。
第2世界までしか目の届かない神は、第3世界にいるエリックを連れ帰れない。
なので神からの命令を受けたリコは、エリックを連れ戻しに第3世界までやってきた。
だがエリックにあったら、友達ができていたことを知る。
神官の仲間たちといるときよりも朗らかに楽しそうな表情をしていることを知る。
兄貴心を擽られた身としてはこれを連れ帰してはならないと思い、上には「見つけられなかった」と報告することにした。
そんなリコは予想もしなかった質問をされる。
「兄さんは一体何者なの」
一神官には時空、世界、生物などを創る事は出来ない。なのにそれをやってのけてしまう。そんなダニエルが一体本当に自分たちと同じ使者なのか。自分たちと同じただの神官なのか。
疑問を口に出したエリックの靄を晴らすために、真実を教えることを決意する。
それが吉と出るか凶とでるか。
誰にもそれを知る由もない。
一人を除いて・・・。


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第3世界の深部には、強力が圧が掛りおおよそ生物が存在していないであろうと仮説されている。
だがそこに一人の青年の姿があった。
それだけか、そこには雪の積もった真っ白な城が建っていた。
城の付近にはさまざまな木々や花々が色鮮やかに咲き誇り、季節感を狂わせていた。
そこに、一つだけ存在する大きく美しい空の蒼を映したような湖の水に姿が映っている青年。
「知ってしまってもなお、私を探しに来てくれるのか。」
青年は心底嬉しそうに微笑む。
「私の場合、ごっこではなく、本当に君の事を 家族だと思っているんだけどね。」

ダニエルは真っ青な湖に映った己を踏みにじった。