2012/09/20

きゅう

「は?」

意味のわからないことを言われて頭が混乱する。
つまり、切嗣が言うには、友達の条件は弱者で有ることだった。ケイネスは怒りに沸騰しそうだ。

「私を馬鹿にしているのか?」

「とんでもない。寧ろ愛を込めて、だよ。」

「ふざけるにも、」

と言いかけた瞬間、切嗣がケイネスの頭にぽんと自分の手を置いた。

「まぁまぁ、そうかっかすんなって。」
ポンポンと宥められて何も反応できなかった。不意打ちの様に卑怯だと思った。
「どうせもう逃げらんないんだから。」

どう言うことなのかと乗っけられた手を払う。そして初めて切嗣が笑った。
いみのわからない事が二つ一辺に起こった。困惑しているケイネス。
だが周りと自分が置かれている状況下を明瞭にされた。ケイネスは狙われている。

「ふっ 僕のお友達に何か出来るもんならやってみろよ。」

挑発的に紡がれた言葉は力を帯びていた。ケイネスは改めて切嗣の凄さに驚かされ、、そして同時に魅了された。自尊心の高さや何事に対しても負けずにいる切嗣が羨ましかった。

その後は言わずもがなだ。
なぎ倒された相手と余裕の切嗣。

前までの、切嗣と出逢うまでの彼ならばその様なことに思いも至らなかっただろう。
だが今は違った。
人とわかりあえる人にケイネスは成っていた。



そして学園時代は中等部まで続き、二人の仲も明白に良かった。
親友のような二人はお互いの夢を語り合うまでに成っていた。

切嗣は、世界の秘密と悪を暴きたいと。
ケイネスは人の為になりたいと。

各々の夢に向かって、中等部を卒業した二人は離ればなれになってしまう。切嗣は何処ぞの私立へ。ケイネスは難関私立へ。
高校に入り、お互いの事を忘れかけていた頃。ケイネスはふと切嗣のことを思い出した。
思えば—

「あれは初から二番目の恋だからセーフ!」

現在の恋人、ソラウの事が頭から離れなかった。