2012/11/18

衞宮切嗣の成功1

刹那的光が目の前を湯切った。
目がパチリとかっ開いて、驚異的な目眩が身体を襲う。汗を掻きながら眠りに更けていたらしく、頬には畳のあ後が浸いている。右手で後を擦っても、赤みも痒みも、どちらも取れない。次いでに身体のあちらこちらが軋む。無理な体制で寝ていたからだ。
「はぁ・・・」
起きた時は、既に午後4時。予め着替えていたシャツはよれよれだが、約束の時間まで間に合わないので、そのままだ。
急いで準備満単な状態の鞄を手に取る。
着古した黒いトレンチコートに腕を通して、ズボンの汚れを払い、玄関に向かった。
ふと後ろに目が行く。
置き手紙。
今年小学校に入ったばかりの息子—養子—のために書いておいたメモだ。内容は粗末なもので「1週間出かけるが善くしていなさい。」だ。書いた当人は果たしてこれだけね大丈夫なのかと気がかりだが、その答えは数年後にわかるのは内緒だ。
「行ってきます。」
小さく言い放たれた言葉は何の返事も要求するわけでもなく、ただ玄関に籠った。


第4次聖杯戦争から1年、魔術師殺しの衞宮切嗣は次なる目的を果たしに向かった。

先ずは長女イリヤスフィール・フォン・アインツベルンの奪還。